円安とインフレーション


インフレーションは好景気で起きる

公開: 2022年3月31日

更新: 2022年4月19日

あらまし

日本では、「適度なインフレーションが起きれば、景気が良くなる」と信じていた人々が少なくなかった。それは、その人々が過去に経験したインフレーションが好景気によって起きた、好景気の結果だからであったと考えられる。

その逆をとって、「インフレーションが起きれば、景気は良くなる」と主張するのは、ある意味で詭弁であり、危険な思想と言える。

インフレーションは好景気で起きる

日本では、「適度なインフレーションが起きれば、景気が良くなる」と信じていた人々が少なくなかった。それは、その人々が過去に経験したインフレーションが好景気によって起きた、好景気の結果だからであったと考えられる。その「」をとって、「インフレーションが起きれば、景気は良くなる」と主張するのは、ある意味で詭弁であり、危険な思想と言える。

日本の安倍前首相が任命した、現日本銀行総裁の黒田氏は、「2パーセントのインフレーションを起こせば、日本の経済は回復する。」と主張して、大規模金融緩和政策を長期に渡って推し進め、日本政府の抱える負債が、日本国の年間GDPを超える額になっても、「大規模金融緩和策を継続する。」と表明している。この政策を続ければ、日本国が発行する大量の国債を日本銀行が買い入れ日本国政府の負債はさらに増大する。このことは、日本の長期金利が、今は低く押さえられていても、何かのきっかけで暴騰し、日本国は国債を発行して得た借入金の利子を支払えなくなる。結果的には、国際金融市場において日本円の暴落が発生し、日本経済は破綻するのである。

このような金融リスクがあるにもかかわらず、なぜ、今の日本政府は、黒田日本銀行総裁の提唱する「大規模金融緩和策」をとり続けるのであろうか。日本の政治家や、政府に対して経済政策を進言する有識者たちは、本当に「インフレーションによって好景気をもたらすことができる。」と信じているのだろうか。リーマンブラザースサブプライムローン問題に端を発して起きた、世界的金融危機に対応するため、世界中の中央銀行で導入された金融緩和政策の効果で、金融危機の発生が回避された今、アメリカ合衆国を始めとして、世界の主要先進諸国の中央銀行では、インフレーションのリスクを回避するための、「金融引き締め政策」に舵を切り始めている。それでも、日本銀行は、これまでの方針を変えられずにいる。

(つづく)