インフレーションと経済成長 〜 注1a

公開: 2022年4月17日

更新: 2022年4月17日

注1a. 逆

ある主張が、それが成立する「前提」と、結果として正しいとされる「結論」から成っているとする。つまり「Aが正しければ、Bが正しくなる。」と言う主張である。この前提と結論をひっくり返して、「Bが正しいので、Aは正しい。」と主張することは、一見正しそうに聞こえるが、正しいかどうかは分からない。

これに対して、「対偶」と呼ばれる、「結論を否定すれば、前提も否定できる」は、いつも成立する。つまり、上述の例では、「Bが成り立っていなければ、Aは成り立っていない。」は、つねに正しい推論になる。

具体的な例で考えてみる。「広大な土地を所有している人は、金持ちである。」は正しい。しかし、「金持ちであるから、広大な土地を所有している。」と言う逆は、いつも成り立つわけではない。金持ちは全て、広大な土地を持っているわけではないからである。

対偶を考えてみる。「金のない人は、広大な土地を所有していない(所有できない)。」は、いつも成立する。我々は、正しい説の逆は、正しいと信じてしまう傾向がある。

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