公開: 2022年4月3日
更新: 2022年4月18日
リスクの高い、低所得層を対象とした貸し付けを債権化し、数多くの債権者に分散して資金を貸し付けるサブプライローンは、人口が多く、資金需要が高い低所得層を対象としているため、大きな市場を形成する。債権の金利が高ければ、通常の企業債権よりも有利なため、市場では高値で売買される。米国の金融機関の多くが、金融投資のために、サブプライムローンに投資した。
当時、日本政府の低金利政策で経営難に陥っていた日本の銀行の多くが、高い金利に注目し、米国の金融機関を通じて、大量のサブプライムローン債権を買い入れた。
そのようにして生まれたバブル景気は、永遠に続くものではない。2009年、大量のサブプライムローン債権を保有していた米国大手金融機関のリーマンブラザースでは、不動産景気の低迷で、一部のローン貸し付け資金の回収が困難になった。それをきっかけとして、金融機関では、リスクを回避するため、サブプライムローン債権を市場で売る流れが生まれ、債権は暴落した。
そのような債権の暴落に端を発した米国金融機関の経営危機は、世界的な自動車メーカにも影響を及ぼし、米国の巨大企業も経営危機に陥った。これに対して、米国政府は経済危機を回避するために、大量の資金を企業に貸し付け、倒産から守り、それらの企業に対して、経営改善を求めた。
この経済危機によって、企業を解雇された人々で、サブプライムローンの破たんで、住んでいた家を手放した人々は、都市の公園などでテント生活を続ける「ホームレス」となった。しかし、米国政府からの資金援助で経営危機を脱することができた大企業の経営者は、その地位に留まり、高額の賃金を受け取り続けた。米国社会では、資産を失った数多くの中産階級の人々と、資産を増やした一部の有産階級の人々との間に、大きな格差が生じた。