インフレーションと経済成長 〜 注3

公開: 2022年4月2日

更新: 2022年4月18日

注3. 景気

「景気」とは、一般の人々が感じている社会全体の経済の状況を言う。「景気が良い」と言う表現は、社会全体で経済が活性化していて、人々が「豊かさ」を感じている状態にあることを言う。例えば、企業等に雇用されて働いている人々であれば、給与が高くなり、生活が豊かになっているか、それが期待できる状態にあることを言う。つまり、経済が拡大しつつある状態を言う。

企業を経営している人々が「景気が良い」と感じるのは、企業の売上が順調に増加し、最終的に材料費や人件費(従業員への給与など)を支払った後の利益の増大が期待でき、利益の一部から、将来の事業の成長に必要な投資のための資金を確保できると確信できる状態にあることを言う。原材料の高騰が予想される場合や、人件費の高騰が予想される場合は、売り上げの増加が予想されていても、支出も増加するため、簡単に「景気が良い」とは、言えなくなる。支出の増加を上回る売り上げの増加を期待できなければ、「景気が良い」とは言えない。、

国家の経済を見る時、「景気が良い」とは、国内経済が拡大状況にあって、国内に循環する貨幣の量が増える状態にあることを言う。国民の消費が増え、その消費を支えるものやサービスを生産する企業が従業員に支払う人件費が増え、企業がものやサービスの生産に投入する原材料に支払う原材料費が増えると、国内で循環する貨幣の量は増えるので、「景気は良い」と言える。その国内に循環する貨幣の量は、GDP(域内総生産)と呼ばれる指標で把握されている。そのGDPが1年でどれくらい変化するかを計算した指標が、経済成長率である。世界の経済成長率は、イギリすで産業革命が始まってから、毎年、ほぼ2パーセントで成長してきたと言われている。

1990年代後半からの25年間を見ると、日本社会全体の経済は、そのGDPは、ほぼ年間500兆円で留まっている。それ以前の高度成長期においては、日本経済は、10年間で2倍を超える成長を続けた。つまり、日本経済は、この25年間、停滞している。国家経済が停滞すれば、国民の生活は少しずつ貧しくなってゆく。

参考になる読み物