公開: 2022年4月3日
更新: 2022年4月18日
リーマンブラザースは、2008年まで、米国社会を代表する金融機関の一つであった。1990年代の末から、インターネットを活用した事業が急激に増加し、米国経済は大きく拡大した。1990年代の初めに、「2000年には日本経済が世界一の規模に成長し、米国経済の規模は日本に追い越される」と、多くの人々が予想していた。しかし、その予想は外れた。インターネットの対応に遅れた日本社会は、バブル崩壊で不良債権の処理に苦しむ金融機関を支援しようとした政府の低金利政策も影響して、経済の縮小に悩まされ始めていた。
経済が好調だった米国では、不動産需要が高まり、土地や建物の価格が上昇し始めていた。この不動産景気に注目したリーマンブラザースなどの金融機関は、不動産需要が急激に高まっていた低所得層が不動産を得やすくする目的で、低所得層向けの貸し付けを増加させようとしていた。その方法として、低所得層へのローンを分割して、リスクを分散させ、債権として金融市場に売り出すことを考えだした。この債権化した借金を、「サブプライムローン」と呼んだ。
人口の多い低所得層への貸し付けを可能にしたサブプライムローンによって、数多くの人々が持ち家を獲得した。彼らは、ローンで購入した家を、一定期間の後に、家を購買しようとしている人々に売り出した。需要が高まっていたため、そのような不動産は、購入価格よりも高値で売れ、売り出した人々は、より広く、豪華な家屋を、新しいサブプライムローンを利用して購入した。これは、1980年代の末に日本で起きた、ベビーブーム世代の住宅需要の高まりで始まったバブル景気と同じ現象である。
このようにして生み出されたバブル景気は、2009年、リーマンブラザースの破たんをきっかけに、突然、崩壊した。リーマンブラザースが、企業倒産したのである。これによって生じた金融危機は、米国の金融機関に投資をしていた多くの日本の金融機関にも波及し、世界的な金融危機にまで発展した。