公開: 2022年4月2日
更新: 2022年4月18日
詭弁とは、本当は「正しい」とは言えない説を、論理的には「正しい」かのように説明し、自分の説が「正しい」と人々に信じさせることを言う。古代のギリシャではそのような説明を扱う人々の集団がいた。これは、人間の論理的な「錯覚」を利用したもので、「Aが成り立てば、Bが成り立つ」ことが分かっている時、その逆を主張して「Bが成り立てば、Aが成り立つはずである」と主張することなどである。実際には、「Aが成り立つときに、Bが成り立つ」ことが正しくても、その逆が正しいかどうかは分からないが、多くの人間は、それが正しいはずだと信じてしまう。
古代ギリシャの詭弁でもっとも有名なものが、「アルキメデスと亀」の寓話である。これは、「足が速いアルキメデスでも、先に出発した足の遅い亀には、永久に追いつかない」と言う主張である。これは、アルキメデスが短い時間の間に前に進んでも、その間に亀も前進する。亀の位置にアルキメデスが進んでいっても、その間に亀も前進する。この操作を無限に繰り返しても、亀はいつもアルキメデスの前に居る。この論理の誤りは、時間の分割は、無限に行うことができ、距離の分割も無限に行うことができる性質を利用している。説明は、アルキメデスが亀に追いつく瞬間までを無限に分割している。しかし、それは、アルキメデスが亀に追いつくまでの時間を無限に細かく分割しているだけである。本当の時間は、一定の速さで進んでいる。
つまり、時間の分割を一定の長さに固定して、その時間間隔の間にアキレスが進む距離と、亀が進む距離を考えれば、アキレスは亀に追いつき、追い越すことが分かる。