公開: 2019年7月12日
更新: 2024年10月12日
人間は、集団で生活するため、個人同士の間の意思疎通を円滑に行うため、声を使ったコミュニケーションの手段として、「言葉」を生み出しました。言葉は、特定の物事を指す言葉である「名詞」と、複数の名詞をつなぎ合わせて、意味のあることを伝えられるようにする「文法」からなっています。名詞は、私たちが自然や、自分たちを取り巻く環境についての知識を増やすに従って、その数を爆発的に増やしてゆきました。
話し言葉を生み出した人間は、その言葉を使って、自分が見たことだけでなく、自分が考えたこと、考えていることを周囲の人たちに伝えることができるようになりました。自分の観察や考えを周囲の仲間たちに伝えるために、人間の祖先達はどんどんと新しい言葉を作り出しました。そして、それと同時に複雑な意味を伝えるために、文を作って意味を伝えられるように、文の作り方の決まりを考え出しました。私たちが文法と呼んでいる決まりごとです。ただ、それらの言葉、すなわち単語、そして簡単な文法だけでは、複雑なことは伝えることができませんでした。
言葉や文法によって、自分が伝えたい意味の重要な部分を、周囲の人々に伝えることはできるようになりましたが、それだけでは十分ではありませんでした。人間の祖先達は、自分が属している集団の仲間の間では誰でもが分かり合えることでも、自分が属している集団とは違う集団に属する人々との間では、分かり合えないことがあることを知りました。そのような別の集団に属する人と、お互いに考えていることを話し合い、何が正しいことなのかをはっきりと伝えることが大切であることを知りました。
そのように、遠くに離れて生きている人達とも自分達の考えや、自分達が知っていることを、お互いに伝えあい、交換することで、自分達、人間が知っていることの量を増やし、自分達が考えていることの質を高めることができることを、知り始めました。特に、古代ギリシャの市民と呼ばれる人々の中に、人間が知っていることや、人間が考えていることを整理して、教え、記録することで、さらに考えを進められると考える人々が出てきました。そのような人々を、古代ギリシャの人々は、「哲学者」と呼ぶようになりました。
古代ギリシャの哲学者の中には、人間が自然ついて知っていることを整理し、どうやったら短い時間でうまく伝えられるかを考えるようになった人々がいました。例えば、夜空に光る星をよく観察し、その中にどのような性質のものがあるかを考え、説明する人々がいました。そのような人々は、夜の星の1年間の動きを観察し、記録し、その中に恒星と惑星があることを見出しました。恒星は、決まりきった動きをするのに対して、惑星はいつも違う「変な」動き方をしていたからです。惑星は、数が限られていたので、それぞれに、金星、土星などと、個別の名前を付けました。