公開: 2021年9月29日
更新: 2021年9月30日
インターネット上では、一部のトヨタ車に危険な運転を引き起こす原因となる設計上の問題が指摘されています。問題は、ハイブリッド方式のオートマチック変速で、シフトのモード変換で、駐車時のPから始動時のDに移行する場合は、ブレーキを踏まなければなりません。Dポジションで走り始めると、車はモータの力で走り始め、一定の速度に到達するとエンジンの力で動くようになります。運転者がブレーキを踏んで車を停止させると、車は止まります。そのままの状態(ブレーキを踏んだまま)で、駐車場の出口で料金を支払うなどをして、ブレーキペダルから足を離しても、走り始めるべき車は走りだしません。そこで、運転者がアクセルを踏み込んでも車は、全く動きません。速度計が表示されている運転バネルを見ると、DになっていたはずのシフトがNに変わっています。Nポジションは、エンジンが回転していても、エンジンの力を車輪に伝えないようにするためのモードです。運転者は、あわてて、シフトを右に引いて、Dポジションに入れると、エンジンの力が直接、車輪に伝わり、車は急発進してしまいます。
車が急発進したとき、運転者は、すぐには何が起こっているのか理解できないため、慌てます。加速しようとしてていたため、アクセルを踏み込んだままだと、すごい勢いで車は前に進んでゆきます。これが起こるのは、その車が特殊な運転操作方式を採用していて、全ての運転者がそれに慣れているわけではないことが原因です。普通のオートマチック変速の自動車では、PからN、そしてRからDと、モードの切り替えは、縦方向に順番に変えるようになっています。このトヨタ車の場合、PからDは、縦方向への動きですが、NとD、DとRへのモード変更は、左と右への動きになっています。また、ブレーキを踏まなくても、モード変換ができるようになっているそうです。このシフトの動きに慣れている運転手は、特に高齢者の場合には少ないでしょう。ネット上の意見では、このことが事故と関係しているのではないとの見解が示されています。
この現象だけで、東京で高齢運転者が起こした事故の全てを説明することはできません。このような問題がその事故の最初の原因であったとしても、運転者が主張した、「アクセルではなく、確かにブレーキを踏んだが、車は減速しなかった」という証言と、「アクセルペダルとブレーキペダルを踏み間違えた覚えはない」と言う証言に間違いがなければ、交差点でゴミ収集車に衝突するまで、車が加速を続けて走り続けた事実を説明することはできません。この高齢運転者の記憶に間違いがあるか、警察が主張したようにブレーキとアクセルを間違えて踏んだか、車を制御しているソフトウェアに何らかの問題が残っていたか、ブレーキシステムが故障したかの、どれかの問題が起こっていたはずです。トヨタ自動車は、事故を起こした車を点検して、ブレーキシステムには故障がなかったと証言しました。このトヨタの証言に基づいて、警察は、運転者の操作ミスと断定したようです。その警察の見立てが正しいとは、断言できません。
これに対するトヨタ自動車の見解は、「自動車に問題はなく、自動車は運転者の指示通りに動作していた」としています。もし、上に述べたことが事故の原因の一つだとすれば、車は設計通りに動作していたわけですから、「車の設計が妥当ではなかった」と言わざるをえません。「説明書通りに動いたのだから、事故の原因は運転者の運転動作にある」とメーカが主張しているのであるとすれば、運転者の慣れや癖を考慮しなかった「設計」に問題があったと言えます。運転者は、びっくりしたとき、無意識的にブレーキを踏む傾向があります。この「癖」を利用して、ブレーキが踏まれたときに、エンジンとモータの回転を止めるな設計の変更が必要でしょう。ちなみに、日本メーカでも、ホンダやニッサンの車では、このような問題のある設計は行われていません。
プリウスミサイル”と呼ばないで!プリウスは事故が多いのか? https://autoc-one.jp/toyota/prius/special-5010569/