ジャンヌ・ダルクは、なぜ火あぶりにされたのか 〜 注1

公開: 2022年5月21日

更新: 2022年5月21日

注1. ジャンヌ・ダルクと『神の声』

キリスト教徒にとって、『神の声』を聴けるのは、神から選ばれた特別な人々を意味します。昔から、聖人・聖女は、神の声に導かれて、何かを成し遂げたのです。その意味で、ジャンヌ・ダルクが神の声を聴いたかどうかは、当時の人々にとっては、彼女が聖女であったかどうかを決めるための判断基準でした。ジャンヌは、天使の姿を見て、お告げを聴いたと証言しました。現代の歴史家の中には、ジャンヌが幻視・幻聴を体験したと解釈している人々がいます。

幻視や幻聴の原因としては、現代の医学では、レビー小体型認知症や統合失調症が疑われます。レビー小体型認知症は、高齢者に見られる症状なので、若いジャンヌに起こる可能性はありません。統合失調症は、年齢に関係なく、誰にでも起きる可能性があるので、ジャンヌにも当てはまる可能性はあります。ジャンヌが、そのような疾患を持っていたとしても、当時の医学では、それを明らかにすることはできませんでした。ジャンヌの行動や言動には、通常の人・女性には当てはまらない例が、いくつか記録されています。それらが、「彼女が魔女である」とする根拠とされた原因でしょう。

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