インフレーションと経済成長 〜 注62

公開: 2022年6月6日

更新: 2022年6月6日

注62. 低金利政策は続けなければならない

経済の専門家の中には、日本銀行が低金利政策を維持しなければならない理由として、日本経済の現状が、現時点でもデフレーションから抜け出せていないため、「経済成長を振興させる目的で、低金利政策を続け、年率の物価上昇率を2パーセント以上にしなければならない」と主張する人々がいる。これは、経済学的な視点から言えば、妥当な意見のように聞こえる。

しかし、人口が減少する社会で、「経済成長は可能か」と考えれば、そのような経済学者の意見は現実的な考えではない。日本社会で長期に渡って、物価が上昇しない根源的な理由は、「人口減少」であり、その問題が解決されなければ、経済成長は起こらず、物価も上昇しない。日本銀行が、長期金利を長期に渡って低く押さえるだけでは、経済成長は起こらないのである。さらに、国債の利回り上昇を抑えて、長期金利も維持しようとすれば、日本銀行は市場において国債の買い取りを続けなければならない。結果的に、円安はさらに深刻になる。

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