インフレーションと経済成長 〜 注58

公開: 2022年4月16日

更新: 2022年6月3日

注58. 日本国債の利回り上昇

日本の超低金利政策は、日本政府が税収を上回る国家予算を組み、税収以上の予算支出を行うことを可能にした。それは、超低金利政策で低く押さえられている金利で国債を発行できるからである。政府が発行する国債の全てを、日本銀行が買うのであれば、それで発生する問題は、それほど大きくはならない。

世界の常識では、そのような国債を中央銀行を買い入れることは、金融規律を犯す政策として、避ける傾向がある。現在、日本政府は、GDPの200パーセントに相当する額の国債を発行し、返済する義務を負っている。先進国では、GDPの20パーセントから50パーセントが許容できる範囲と言われている。最もその割合の高い先進国がドイツで、60パーセントを超える程度である。発行した国債の量が増えると、その返済の負担が過重になるからである。

政府が発行した国債が増えると、その国債を買って投資をする資本家は、リスクを懸念して投資を控えるようになるため、市場で国債を得ることが難しくなり、それにつれて国債の利回りが高くなる。それは、政府が国債の償還時に支払う金利が増えることを意味する。そのような国家の通貨は、国際為替市場で通貨安になる例が多い。通貨安になると、国家が支払う利子はさらに高くなる。

今、日本政府が直面しているのが、国債の償還時に支払う利子の負担に耐えられなく状態である。利子が支払えなくなると、日本政府の信用は失墜し、国債の利率がさらに高まり、国家財政は破たんする。何としても、そのような状態に陥ることは避けなければならない。

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