公開: 2022年4月15日
更新: 2022年4月15日
バブル経済が破たんした1992年以降の日本社会では、一部の企業に労働力の過剰感が出てきた。しかし、企業は、一度雇用した正規社員を解雇することが難しい。企業はこの局面を打開するため、本人から自己都合の退職願を出させて、その退職願を受理する形式をとる方法を採用する例が出てきた。
具体的には、特定の社員に圧力をかけて、本人が自ら退職願いを書くように仕向ける。具体的には、長期間、仕事を与えずに放置するなどである。日本社会では、「窓際族(まどぎわぞく)」と言う新語も生み出された。このような処遇に嫌気をさした社員が、自己都合退職を言い出すのである。
以上のようなやり方は、「法律には違反していない」やり方と言えるが、「合法」であるとは言い難い。そのため、1990年代の中頃になると、1980年代の中頃から、米国社会で一般的になっていた「早期退職プログラム」を導入する企業が増えた。「早期退職プログラム」は、退職金に上積みする退職奨励金を出し、社員全体に、定年前の退職を募る方法である。
このプログラムを実施するためには、多額の奨励金を準備しなければならす、さらにプログラムに応募する社内人材が、企業側が解雇したい人材であるとは限りません。むしろ、企業が離職することを望まない、有益な人財が退職を希望する例が多いことも現実であった。これは、米国社会でも同じであった。企業の経営体力は、さらに弱まったのである。