公開: 2022年4月15日
更新: 2022年4月15日
生産労働人口が減少する状況で、経済成長を維持しようとするとき、生産労働人口を可能な限り維持するための方法として、政府が選択できる政策の一つは、退職して家庭に入っている女性や、高等教育を受け、資格を取得したにも関わらず、結婚して家庭に入った女性など、働くために必要な知識や技能を持ちながら仕事に従事していない女性が多い場合、それらの人材を労働力市場に導入できるよう推進することである。
しかし、終身雇用制を前提とする日本の社会では、色々な理由でそれまで仕事に従事していない人々や、一度、企業を退職し、一定期間、仕事に従事していない人々を、社会の中で労働力として活用することが難しい。それは、終身雇用と結びついた年功序列の処遇や給与体系に適合しないからである。また、それらの人材を雇用し、仕事の現場に投入しても、職場環境の変化が大きく、職務の遂行に必要となるパーソナルコンピュータの操作や、メールによるコミュニケーションなどに対応できないような問題が生じる例がある。
そのようなリスクがあるため、大きな企業の場合、既卒者・経験者の採用を躊躇(ちゅうちょ)する傾向がある。このことが、労働市場に女性の労働力を流入させようとする、社会の労働力需要の変化と、社会の制度の釣り合いがとれない状況を生み出す。女性の場合、税制上の問題もあり、企業の正規社員として長時間、働くことには、デメリットもある。そのような要因から、女性の労働力を社会的に活用することは、容易ではない。正規社員ではなく、非正規社員のパートやアルバイトとして働く人の例は多い。