インフレーションと経済成長 〜 注34

公開: 2022年4月10日

更新: 2022年4月19日

注34. バブル崩壊後の金融機関における保有資産額の減少

1990年頃までの日本の銀行など、金融機関は、融資を希望する企業や個人の保有する不動産や株式などの債権を担保として、資金を提供していた。しかし、バブル経済の崩壊によって、担保としていた資産の価値が急落したため、金融機関が融資として提供した資金の量に見合った資金を回収することが不可能になった。このことによって、金融機関の保有資産額は大きく目減りした。

金融機関にとって、保有資産額が目減りすることは、貸し付けられる融資の総額も減ることを意味するので、貸付額に対して約束される利子の総額も減少することになる。これは、金融機関の基礎体力が減じたことを意味するのである。1990年頃には、世界の有数の資産を保有していた日本の有名都市銀行が、10年ほどでその巨大な資産のほとんどを失ったのである。

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