インフレーションと経済成長 〜 注27

公開: 2022年4月9日

更新: 2022年4月9日

注27. 1970年代の米国労働力の特徴

1950年頃の米国社会では、第2次世界大戦に従軍した若者がヨーロッパ戦線や太平洋戦線から帰国し、労働力の過剰な状態にあった。この状況で、米国政府は、各戦線から帰国した退役兵に、教育クーポン券を発行し、大学への進学を推奨した。この制度を活用し、大学で専門知識を獲得した後、専門家としてのキャリアを歩み始めた人々が数多く出現した。この政策で、米国社会には、専門家人材が急増し、その後の米国社会の発展に大きく寄与した。

1970年代の米国社会では、そのような熟練した労働力のピークを形成していた人々は、40歳代から50歳代になっていた。高齢化の始まりであった。日本社会のヘビーブーム世代と比較すると、15歳から20歳ほど高かった。熟練度は高い人材も多かったが、人件費も高く、重労働に耐えられる体力は失われていた。この労働人口の構造的な問題が、1980年代の中頃から、米国社会における労働生産性の低下に影響を与えた。

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