公開: 2022年4月8日
更新: 2022年4月8日
19世紀の世界では、国際的な貿易による支払いを円滑に実施するため、各国の中央銀行は、通貨を一定量の金と交換することで、通貨の信用を保障する「金本位制」を導入していた。2国間の貿易における支払いは、この金の量に基づいて通貨間の換算率を決定していた。例えば、日本とアメリカ合衆国との間の貿易では、昭和初期においては、1ドルが2円という交換レートを国家間の合意としていた。しかし、この「金本位制」は、1930年代の世界恐慌に代表される経済危機の間に、各国で維持が困難になった。これに伴い、国際貿易における決済は、各国の通貨と、米ドルや英ポンドなどの基軸通貨との為替レートを設定し、それに基づいて支払額を設定するようになっていった。
第2次世界大戦後、日本の通貨である円は、基軸通貨である対ドルとの為替レートを、360円とした固定為替レート制に移行した。その後、1972年まで、米国はドル固定相場制を維持していたが、他国との貿易が大きく拡大した結果、輸出額に対する輸入額が大幅に増大したため、固定相場制の維持を放棄し、変動相場制に移行した。変動相場制では、為替市場での取引によって2国間の通貨の為替レートが、瞬間瞬間の売買を通して決定される。
貿易で、A国の企業Xが、B国の企業Yから製品Zを購入しようとするとき、購入契約で合意した金額の通貨を為替市場で買い入れ、企業Yへ送金する。この為替市場における通貨の売買によって、企業Xが購入したB国通貨の量と、支払ったA国通貨の量の比率によって、B国通貨に対するA国通貨の為替レートが決まる。このレートは、通貨の買い入れ時に決まるため、変動相場制と呼ばれている。例えば、2022年1月頃の日本円は、1ドル110円前半の価格で交換されていた。その為替レートは、2022年3月末になると、1ドル125円にまで、為替レートが下がった。