インフレーションと経済成長 〜 注23

公開: 2022年4月8日

更新: 2022年4月18日

注23. 中東戦争で引き起こされたオイルショック

第2次世界大戦後、世界中に拡散していたユダヤの人々は、中東のヨルダン河周辺に入植し、自分達の国家を建設した。その結果、それまでその土地で生きていたパレスチナの人々は、イスラエル人に土地を奪われ、土地を追われてイスラエル国内のいくつかの地域に分散して移り住むことになった。このバレスチナ人を支援するイスラム教徒の国々は、エジプトやサウジアラビアなどを中心に結束して、イスラエルとの間で、何度か戦端を開いた。1973年の中東戦争も、そのようなイスラム教国連合と、イスラエルとの間で起こった戦争の一つであった。

この戦争は、イスラエルの圧倒的な勝利で終わった。しかし、サウジアラビアは、当時、世界一の原油輸出国であり、戦争で一時的に原油産出国からの原油輸出量が著しく減少したため、世界市場で原油価格が高騰し、その原油価格の上昇の影響を受けて、ガソリンの価格が高騰した。日本の市場では、1リットル当たり50円前後であったガソリン小売価格は、1リットル当たり100円を超える価格に上昇した。このガソリン価格の高騰によって、全ての生産物の輸送コストが上昇したため、全ての物の価格が高騰し、それによって人々の給与も大幅に上昇した。このガソリン価格の高騰をきっかけにした物価高騰、給与上昇、生産コストの高騰、さらなる物価高の循環が引き起こされた。

この中東戦争をきっかけによって引き起こされた物価の急上昇を、「オイルショック」と呼ぶ。

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