公開: 2022年4月1日
更新: 2022年4月18日
「インフレーション」とは、略称で「インフレ」と呼ばれることもある。インフレーションとは、通貨(日本社会であれば円)の価値が時間と共に減少し、同じ製品やサービスを買うときに支払う金額が継続的に上がることを言う。社会に循環する貨幣の量が増えると、同じ価値の物やサービスに対して、貨幣の価値が下がるため、それを購入する人が支払う貨幣の量(すなわち購入価格)は、高くなる。このような貨幣の価値が減少することを、貨幣の膨張と呼び、インフレーションと言う。インフレーションが進む社会では、借金をする方が、預金をするよりも有利である。1年で500万円の収入のある人が、1,000万円を借りても、次の年には収入が530万円に増えていて、返済が楽になるからである。
インフレーションが起こっている社会では、物やサービスの値段が、時と共に上がるため、同じ量のお金で買える物やサービスの量は減少する。昨年は、100円で買っていた物が、今年は105円でなければ買えなくなるような状況が発生する。当然、労働の対価として支払われる賃金も、普通は時間と共に多くなる。日本の場合、日本銀行が市中に循環させる貨幣の量を意図的に増やすと、インフレーションが発生する。また、景気が上昇する社会では、社会全体に必要な貨幣の量が増えるので、中央銀行が市中に供給する貨幣の量は多くなり、インフレーションが発生する。インフレーションが進む社会では、住宅などの購入が増える傾向がある。その住宅需要の増加が、さらに景気を押し上げる。
日本社会では、1960年代の前半から、経済が拡大し、それに合わせてインフレーション現象が発生した。この景気の上昇を進めて、日本経済の拡大を推進するため、敢えてインフレーションを止める必要はないと言われていた。そのために、年率で数パーセントのインフレーションは、特に日本経済に問題がないとされていた。しかし、1980年代のブラジルで発生したインフレーションは、インフレーションを止めることが不可能になり、年に数千パーセントの規模に膨れ上がり、ブラジルの国家経済を破たんさせた例として有名である。