公開: 2022年4月3日
更新: 2022年4月3日
一般的に、国家経済に占める軍関係の需要の割合は、数パーセントから十数パーセント程度である。それに比較して、国家経済に占める消費者需要の割合は、一般に2分の1程度で、先進国では3分の2程度を占めることもある。この消費者の需要を満たす製品やサービスの生産には、軍需に比較すると、多様で幅広い分野の生産活動を必要とする。特に、消費者の購買を支援するためには、商業などのサービス業が担う役割が重要になる。さらに、外食産業などのサービス産業の役割も重要になる。
1950年代に起きた朝鮮戦争では、主として米軍が戦争で消費する物品を大量に生産する産業の発展が重視された。しかし、朝鮮戦争が一段落した1950年代の中頃からは、米軍による軍需品の消費が減り、豊かになった日本の国民が消費する物品などの生産を拡充する必要性が増してきた。そのような主たる消費需要の変化に従って、日本国内の産業構造を変え、消費者の需要に対応できる生産が可能な企業群や労働力の供給を支える社会の構造を整備する必要性が生まれたのである。例えば、若い労働者を育成するための教育制度の整備、大企業の生産を支える部品生産のための中小企業群の整備などである。さらに、その中小企業群に資金を供給する金融機関の整備などである。
1950年代後半の日本は、農業主体の産業構造から工業主体の産業構造への転換を進めるため、農村から若年労働力を都市部へ移動させ、円滑に工業化への産業構造の転換を成し得たのであった。